ジャクエツが築く、こども環境の未来とは
2016.01.15

社会や経済に新たな価値とイノベーションを創り続けてきたジャクエツは、2015年に創立100周年を迎え、新たなプロジェクト「PLAY DESIGN LAB(プレイデザインラボ)」を立ち上げた。PLAY DESIGN LABは、様々な分野の専門家たちが携わることで、子どものあそびを深く研究し、より良いこども環境を築くことを目的としたプロジェクトである。PLAY DESIGN LABを立ち上げることで何が起こるのか、今後のジャクエツはどのような未来を目指すのか、代表取締役社長の徳本達郎氏にお話を伺った。

あそびは学び

─ 子どもはどのようにして知識を身につけ、成長していくのでしょうか。

人間は赤ちゃんとして生まれ成長していく過程で、誰かに教わるわけでもなく、子ども同士が触れ合い遊ぶだけで、コミュニケーション能力を身につけて、多くのことを学びます。つまり、「あそびは学び」でもあるのです。
子どもにとっての「あそび」とは、はじめは無意識に反応したり動いたりと、動物的な感覚に近い楽しいものです。やがて、子どもたちはあそびを通して社会性、言語能力、動態能力などを身につけ、豊かな感性を持つようになり、どんどん成長していきます。たとえば、子どもたちの「ごっこあそび」は、遊びながら疑似体験して学ぶ「あそび=学び」の典型的なものではないかと思っています。

感受性の高い子どもたちは、取り巻く環境に無意識のうちに動物的な反応を示します。だからこそ、子どもたちの行動は予測不可能であったり、驚くような創造性を発揮します。行動の変化の幅も広く、捉えにくいものです。
子どもたちからは自発的なあそびが生まれ、そのあそびが新たなあそびへと発展します。そのような素晴らしい「あそび」に全力で取り組むために必要な、子どもが健やかに成長できる環境とは何か、今一度考え直す必要があると思い、プレイデザインラボを立ち上げました。

─ そういった考えから「PLAY DESIGN LAB」が誕生したのですね。「PLAY DESIGN LAB」は、どういったことを行うプロジェクトなのでしょうか。

「PLAY DESIGN LAB」は、Research(リサーチ)・Design(デザイン)・Relation(リレーション)と、大きく3つのテーマを持っています。

Research
子ども環境に関するデータの分析や、現場調査を行い子どもの心身発達のために活用します
Design
最良のカタチを子どもに提供し、豊かな感性を育む子ども環境をつくります
Relation
様々な分野のプロフェッショナルと協働して、未来の子ども環境をつくります

PLAY DESIGN LABは、子どものための最良のあそび環境を設計する研究所です。教育者・建築家・芸術家・デザイナー・研究者など、様々な分野のプロフェッショナルとジャンルの垣根を越え、子どものあそびの創発につながる最高品質の環境を研究し、そこで得た知見を、遊具や園舎設計に生かすことで製品の品質高め、子どもたちに届けます。

─ 現在のこども環境は一体どのような状態なのでしょうか。また、これから何が必要ですか。

子どもたちをとりまく環境を良くするためには、幼児教育学・発達心理学・保健体育学・あそびを促す最良の脳科学など、幅広い教育領域が必要です。ですが、まだまだ縦割りの教育研究であるようにも感じています。
また、教育現場の物的環境をつくる建築家やデザイナーも、教育についての知識を持たずに、大人のデータや経験のみで、環境づくりに携わっていることが多いと思います。そこで私たちは、子どもを研究している研究者の方々と、広く横断的に協働できる場として、PLAY DESIGN LABを位置付けたいと考えています。

子どもたちを見守り、観察し続けることが大切

─ こども環境をより良くするために、普段から意識されていることはありますか。

子どものあそび環境を考えるには、実証主義しかありません。それを根気よく取り組んでいる企業や研究機関は意外と少ないので、私たちは子どもたちが遊具や教材でどのように遊ぶのか観察することを徹底し、より良い環境づくりを研究して学んでいきたいと思います。
今は少子化で大変だと騒がれていますが、そのような時代だからこそ、教育や、その環境の質が問われてきます。それは、社会全体にとっても大切なことで、子どもたちにとって最高の環境をつくることが、より良い社会をつくる近道だと思います。

─ 子ども向けの保育教材や遊具を開発する上で、課題ややりがいを教えてください。

こども環境をつくる上で、安全性が求められることは当然です。ですが、最近では安全性に対する要求ばかりが高くなり、子どもを守りすぎることで、子ども自身が挑戦する能力や、危機へ対応する能力が育ちにくくなっていると、専門家の方々よりご指摘いただきます。

例えば、安全性もあって、チャレンジ性も高い。機能性が優れているが、形としても面白い。そのような一見、相対しそうな対極を併せもつには、どちらかに偏ってはいけませんし、足して2で割った真中をとることもできません。むしろ両極を併せ持った環境をデザインしていくことが必要です。

今までもデザイナーの意匠性にこだわった遊具をつくることはありましたが、体力が向上するなど機能面の効果を検証することは多くありませんでした。ですが、PLAY DESIGN LABという研究組織の立ち上げたことで、一方通行で進んでいた幼児教育分野とデザイン分野をそれぞれ連携させていき、取引先でもある全国の幼稚園・保育園に、研究の成果を反映していくことを目標としたいと思います。
この取り組みによって、子どものあそびの創発につながる、最良のこども環境をつくっていきたいと考えています。

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