地域活性化の核となるユニークな子育て支援施設、宮城県白石市の取り組み
2019.11.09INTERVIEW

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こじゅうろうキッズランドの屋内大型遊具

 
 
近年、子どもたちの「遊び場事情」が大きく変わってきた。共働きや治安などの社会情勢の変化に伴い、子どもが外で遊ばずに家の中で遊ぶことが多くなった。そんな状況の中で、親が子育ての悩みなどを話せる場所や機会が減っていることも、大きな社会問題となっている。
宮城県白石市に2018年8月、大型の屋内あそび広場を核にした、子育て支援・多世代交流複合施設「こじゅうろうキッズランド」がオープンした。この施設は、地域の農産物の加工場や物産館など、地域の食に関する施設を一体的に整備した施設「しろいし Sun Park」の中に位置するというユニークな立地も特徴だ。そしてこの「こじゅうろうキッズランド」は、人口約34,000人の街にありながら、オープン1年余りで来場者数が10万人を突破するという驚異の集客力で人気を博している。そこで今回は、これからの子育て、あそび環境、地域のコミュニティの在り方について、白石市長の山田裕一氏にお話を聞いた。
 
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インタビューに答えていただいた、山田裕一 宮城県白石市長

 
 

天気を気にせず子どもたちが遊べる場を

― 早速ですが、どのような背景や経緯で、屋内の大型遊び場の整備に至ったのでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によりますと、2008年に我が国は人口のピークを迎え、これから100年かけて人口が3分の1に減っていくという推計がなされています。そのような中で、人口の減少カーブを少しでも緩やかなものにしたい。そして、子どもたちがたくましく成長していって欲しいと強く思っています。子どもたちの光り輝く無限の可能性を応援するためにも、「しろいし Sun Park」と「こじゅうろうキッズランド」を整備するに至りました。
そのアイディアの源は、市議会議員に立候補する前の出来事にありました。立候補前に「どういった施設があれば子育てがしやすいですか?」というアンケートを、同世代のお父さんお母さん方に実施したところ、「子どもの屋内のあそび場がほしい」という意見が圧倒的に多かったのです。
私は子どもが4人おりますが、休日に子どもをどこに連れて行ってあげようかいつも迷っていました。天気が良ければ外の公園で身体を思いっきり動かせますが、週末が必ず晴れるとは限りませんよね。そんな時に、天気を気にせず屋内で遊べる施設があればとても良いだろうと、自身の子育て経験からも直感したのです。そして、議員時代に各地域の屋内型遊具施設を視察させてもらいました。そこでは、子どもたちが天気を気にすることなく元気に遊んでいる姿や、子どもの遊ぶ姿を見守る両親やおじいちゃんおばあちゃんの笑顔がとても素敵で、印象的でした。そういった経緯があって、何とか白石市にも子どもの屋内の遊び場を作りたいという思いがありました。
 
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屋内の遊び場では、天候にかかわらず思い切り体を動かして遊べる

 
 

食と遊びを通して子どもたちの成長を支えたい

― ユニークなのは、地域の食材を味わえる施設が隣接して整備されていることですよね。

子どもの遊び場である「こじゅうろうキッズランド」は、「しろいし Sun Park」内に整備しています。「しろいし Sun Park」は白石市自慢のおいしい農産物が買える産直市場や、地元食材をふんだんに使用したレストランなどがあります。
白石産のササニシキは平成元年に食味日本一を取ったこともあるほどおいしいお米で、日本の素晴らしい食文化を海外の皆さまにも体験していただける場所となっています。また、白石三白(しろいしさんぱく)といって、昔から白石は温麺、和紙、葛粉が名産だったのですが、今は温麺だけが商業生産されています。
そこで、「白」に着目して三白野菜を作りましょうということで、白いトウモロコシの「ピュアホワイト」、白いカボチャの「夢味」、里芋の「キクイモ」という栄養価の高い野菜の生産を開始しました。しかし、現状は販路が弱いということで、市としても強力に後押しする必要が生じました。その時、地元の産直野菜が子どもたちのあそび場の隣にあったら多くの方々の手に取っていただけるのではないかと思い、このような構想に至りました。地域の農産業を支え、子どもたちの健やかな成長を白石市のおいしい食材で支援する。「しろいしSun Park」は、そんな施設を目指しています。
 
 

「子ども」を軸に多世代で交流し、悩みを共有できる環境

― オープンから1年余りで、かなり多くの利用者が訪れたと伺いましたが

「しろいし Sun Park」は当初、1年間で8万人来場という目標を立てており、正直、私としても簡単に達成できる数字ではないと感じていました。しかし、運営をお願いしているNPO法人の皆さんのお力をお借りして様々なイベントが展開できたこともあって、オープン1年余りで目標を大幅に超えた10万人の来場数を突破することができました。その中身をみると、市民の皆様だけでなく市外や県外から本当にたくさんの方々にお越しいただいているということでした。これを見て皆様が必要としてくださっている施設になっているのだなと、実感いたしました。
 
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小さな子どもたちのコーナーもあり、安心して遊べる

 
 

― 利用者の皆様からは、どんな反応がありましたか。

おじいちゃんおばあちゃんからの予想以上の喜びの声をいただいております。「安心して孫を遊ばせられるのが非常にありがたい」と、嬉しい言葉をいただいています。また、お父さんお母さんからも「置いてある絵本は大人が読んでも面白い」という声があがっています。当施設では、絵本を専門に取り扱っている書店に監修していただき、子どもたちに今一番読ませたいと思えるような絵本を取り揃えています。親御さんが夢中になって絵本を読んでいる光景というのも、微笑ましく良いことだと思っています。
また、1階には様々な育児書も取り揃えており、核家族で子育てに悩んでいるお父さんお母さん、孫守りで悩んでいるおじいちゃんおばあちゃんの支えとして活用していただいています。子育てで悩んでいても、市役所に電話して相談するというのはやはりハードルが高い。そんな中で、施設の利用者同士で子育ての悩み相談をし、コミュニケーションが図れるというのは、とても良いことだと思っています。
子どもを通して多世代の方が交流できるということは、これからの時代とても重要になっていくと思います。そして「こじゅうろうキッズランド」が子どもだけでなくお父さんお母さん、そしておじいちゃんおばあちゃんも一緒に成長していけるような、そんな施設になってほしいと願っています。
 
 

子どもの夢や希望を行政としてサポート

― 教育の面でも期待されている効果があるということですが

白石市にとって、2019年は「教育改革元年」というように位置付けております。子どもたちの基礎学力や生きる力をさらに伸ばしていきたい。そういう思いから、子育て支援や教育支援といったものに非常に力をいれて取り組んでいます。
東北大学の川島隆太先生の研究によると、子どもの頃に絵本を読んだ子どもとそうでない子どもの間には、学力に大きな差が出てしまうそうです。そのようなことを踏まえると、やはり「こじゅうろうキッズランド」のようなところで、親子で絵本を読むという環境は大切になると思いますし、そういった経験が読書習慣の原点になっていくのではないかと考えています。また親子で何かを一緒にやっていくということは、幼児教育の中では非常に重要になると思います。親子のコミュニケーションを深める場としても、「こじゅうろうキッズランド」は大きな役割を果たしていくと確信しています。
そして、子どもたちが将来の夢に向かって頑張る姿というのは、大人の我々にとって大きな希望です。子どもが頑張れる環境を、そしてその子どもの成長をみんなで応援できる環境を、これからも市として精一杯サポートしていきたいと考えています。
 
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地域の活性化と、子育て支援についてさまざまなお話を聞かせていただいた。

 
 
今回の山田市長への取材を経て、少子化時代における地方創生の大きなカギを見つけることができた。白石市の取り組みは、現在の社会情勢に合わせた形の「子どものあそび空間の演出」に、これからの市政に欠かせない「地域の地場産業の取り組み」を加えて魅力を増大させた。その結果たくさんの人が集い、「地域の多世代交流の場」を提供する役割を担う複合施設が誕生したわけである。
人との関わり合いが減少する中、今後このような取り組みが地域を活性化させ、街を活気づかせ、そして子どもと地域の未来をつくっていくのではないだろうか。
 
 
 
 
 
 

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